

はじめに:Obsidian歴3年、なぜこのアプリを選び続けるのか
2023年1月からObsidianを使い始め、気づけば丸3年が経ちました。
最初の頃は「Notionと何が違うの?」「とっつきにくい」と感じることもありましたが、今では私の知的生産活動において、なくてはならない「母艦」となっています。
世の中では「Notionですべて管理する」というスタイルが人気ですが、私はあえてNotionとObsidianを併用しています。
今回は、なぜ私がObsidianを使い続けるのか。そして、巷で話題の「AI連携」について、実際のところどう活用しているのか。3年間の実体験に基づいた「現在の結論」をお話しします。
Notionをやめたわけではない。「役割」が違うだけ
よく「NotionからObsidianへ完全移行!」という記事を見かけますが、私はNotionの有料プランも継続して契約しています。
重要なのは「どっちが優れているか」ではなく、「得意な仕事が違う」という点です。
私が実践している使い分けは以下の通りです。
| アプリ名 | 私の役割定義 | 得意なこと | データの場所 |
| Notion | 倉庫・ショールーム | データベース管理、ファイル保存、家族共有 | クラウド (SaaS) |
| Obsidian | 工場・思考の作業場 | 思考の整理、リンクによる有機的な結合 | ローカル (端末内) |
| Evernote | (現在不使用) | Webクリップ、紙資料のOCR検索 | クラウド (SaaS) |
| Google Keep | 一時メモ | 緊急時の走り書き、買い物リスト | クラウド (SaaS) |
Notionは「整えられた情報を置く場所(Showroom)」であり、Obsidianは「素材を加工して新しい価値を生む場所(Factory)」です。
この役割分担こそが、今の私の最適解です。
Obsidianから離れられない「2つの決定的な魅力」
では、なぜ思考のメインツールがObsidianなのか。3年使って痛感しているのは、単なる機能便利さを超えた「思考への没入感」です。
1. リンクが「忘れていた記憶」を連れてくる
Obsidianの最大の魅力は、やはり「リンク([[]])」です。
私はデイリーノートを日記代わりにし、「今日話した人」「行ったお店」「考えたこと」を書き込んでリンクで繋いでいます。
これを続けるとどうなるか。
例えば、あるプロジェクトについて書こうとした時、リンクを通じて「半年前にAさんと話したアイデア」や「関連する過去の失敗談」が、芋づる式に目の前に現れます。
フォルダ整理では埋もれてしまうはずの過去のメモが、「今の自分」を助けるために時系列を超えて蘇ってくる感覚。 このセレンディピティ(偶然の発見)こそが、Obsidianを使う最大の喜びです。
2. データが「手元(ローカル)」にある圧倒的な安心感
Obsidianのデータは、独自のデータベースではなく、汎用的な「Markdown(テキスト)ファイル」として自分のPCやスマホの中に保存されています。
- 爆速の動作: オフラインでも一瞬で開くため、思考のスピードを止めません。
- 永続性: サービス終了や仕様変更におびえる必要がありません。
- 自由度: テキストファイルなので、他のアプリで開くことも、プログラムで加工することも自由自在です。
「自分のデータは自分の手元にある」という絶対的な安心感は、クラウド全盛の今だからこそ、何にも代えがたい価値があります。
「Obsidian × AI」の現在地:具体的な活用事例
最近、「ObsidianとAIの連携」が話題ですが、これについて私は「完成された魔法」ではなく「試行錯誤できる実験場」として捉えています。
多くのブログで「自動化ですごい!」と紹介されていますが、実際はまだ発展途上の段階です。
ただ、「ローカルにテキストデータがある」という強みを活かし、私は現在、AI搭載エディタ「Cursor(カーソル)」を使って以下のような実験を行っています。
【活用例】散らばったプロジェクトメモの抽出
仕事をしていると、一つのプロジェクトに関する情報が「日々の議事録」「思いつきのメモ」「タスクリスト」など、複数のファイルに散らばってしまうことがあります。
これを手作業でまとめるのは大変ですが、CursorでObsidianのフォルダを読み込ませ、こう指示を出します。
「プロジェクトAに関連する直近1ヶ月のメモを参照して、現在の『進捗状況』『未解決の課題』『主要な関係者』を抽出してまとめて」
すると、AIが複数のノートを横断して読み込み、現状のレポートを生成してくれます。
これはクラウド型のツールではAPI連携などが必要でハードルが高い作業ですが、Obsidianなら「ただフォルダをAIエディタで開くだけ」で実現できます。
まだ完璧ではありませんが、自分の過去のログをAIという参謀に分析させるアプローチには、大きな可能性を感じています。
同期とバックアップ:自分だけの環境を作る
ローカル保存の弱点である「同期」についても、現在は解決済みです。
以前の記事でも紹介しましたが、私は「Syncthing」や「GitHub」を活用して、PC(Windows/Linux)とスマホ(Android)の間でシームレスに同期環境を構築しています。
特にAndroidユーザーにとって、SyncthingとObsidianの相性は抜群です。
クラウドの容量制限や企業の都合に左右されず、自分のデータは自分で守り、育てる。このDIY感も、エンジニア心をくすぐるポイントの一つです。
まとめ:ツールに使われず、思考を育てる
Obsidianは、使い始めは何もない真っ白な箱です。
しかし、デイリーノートを書き、リンクを繋げていくことで、それは確実に**「第二の脳」**へと育っていきます。
NotionやEvernoteで「情報を整理すること」に疲れた方は、ぜひObsidianで「思考をつなげること」の楽しさを体験してみてください。
AI活用も含め、自分だけの環境を少しずつ育てていくプロセスもまた、このアプリの本当の楽しみ方なのです。


