2024年9月19日、Xserverは、同社サービスのXserver SNSで、Blueskyのサービスを提供開始しました。今回は実際に使ってみたので感想をご紹介いたします。
まだまだ成長中のBlueskyなので現段階でできること、できないことがあるため、導入時の注意点やアカウントのお引っ越し、その他注意点について、運用目線で調べてみました。
今後、改善の可能性がありますが導入前に知っておいた方がいいと思うので、導入検討をされている方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
Xserver SNSとBlueskyについて
Xserver SNSは、分散型SNSと呼ばれる、今のFacebookやXといった中央集権型のSNSとは事なる分散型SNSを、自分で構築できる、ホスティングサービスです。Misskey、Mastodonが既にサービスが提供され、3つめとしてBlueskyが追加されました。
Blueskyは、2019年にTwitter(現X)のプロジェクトとして発足し、2022年にAT Protocol(アットプロトコル)が発表と同時にBlueskyが公開されました。当初は招待制だったため爆発的な普及にはなりませんでしたが、着実に問題点を改善していく誠実な対応が好印象なSNSです。2024年2月に招待制が廃止され、2024年4月には500万ユーザー、9月には1,000万ユーザーを達成するなど注目度が高まっています。
Blueskyと他のSNSの比較
Bluesky誕生の歴史から昔のTwitterの良い点を再度構築したい、中央集権の影響を受けないSNSを実現したいという強い信念が感じられるBlueskyですが、見た目はXやMastodonなどのSNSと類似しているため違いが見えづらい点があるのも事実です。まずはBlueskyの特徴を確認しておきましょう。
最後発のBlueskyは他のSNSの不満点を踏まえつつ開発されており欠点が少ない一方で、機能が不足していることも多く、今後の機能充実が期待されます。
項目 | X | Threads | Mastdon | Bluesky |
---|---|---|---|---|
運営 | X社 | Meta社 | サーバー各自 | Bluesky PBC |
種類 | 中央集権型 | 中央集権型 | 分散型 | 分散型 |
コンテンツスクスポート | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
アカウントの引っ越し | 不可 | 不可 | サーバー内・外で可能、フォロー・フォロワー引継ぎ可能。コンテンツはサーバー運営者による。 | 不可(今後可能性あり) |
利用料 | 無料(有料プランで投稿文字数が増えるなどあり。) | 無し | 原則無料、サーバー運営する場合は費用負担 | 原則無料、サーバー運営する場合は費用負担 |
公式の認定 | 有り(一部無料、原則有料) | 有り(原則無料、Instagaramと共通) | 無し | 有り(無料で所有するドメイン名を設定可能) |
アカウント名の変更 | 可能 | 不可(Instagramと共通) | 不可 | 可能 |
アカウントBANのリスク | X社の判断による | Meta社の判断による | サーバー運営者の判断による | サーバー運営者の判断による |
サーーバ間連携 | ―― | ―― | サーバー運営者の判断による | サーバー運営者の判断による(PDSから集約するBGSはBluesky PBCが運用) |
検索機能 | 可能(トレンド機能有り) | 可能(トレンド機能無し) | サーバー内で可能(サーバー運営者の設定による) | 可能(トレンド機能無し) |
Xserver SNS(Bluesky)に申し込んでみた
前置きが長くなりましたが、Xserver SNS(Bluesky)に申込んでみました。申込みから1時間ほどで利用できるようになりました。
前準備(ネームセーバーの設定)
Xserver SNS(Bluesky)では、Xserver SNSが準備したドメイン(xsns.jp)のサブドメイン(hogehoge.xsns.jp)として利用する方法と、自分で独自ドメインを利用する方法を選択できます。
独自ドメインを利用したい場合は、ドメインのネームサーバーを、Xserever SNS指定のDNSを設定する必要があります。
ネームサーバー1 | ns1.xvps.ne.jp |
---|---|
ネームサーバー2 | ns2.xvps.ne.jp |
ネームサーバー3 | ns3.xvps.ne.jp |
Xserver SNS(Bluesky)の申込み
Xserver SNSで、Blueskyの申込みを選択します。2024年12月11日まで、12ヶ月契約で6ヶ月後に全額キャッシュバックがありますので、お金に余裕がある人は、12ヶ月契約がオススメです。
「サーバー名」を自由に設定できます。「サーバーのドメイン名」も自由に設定できるので確認をしましょう。プランは利用人数によって検討しましょう。私はひとりで利用する予定なので「おひとりさま」を選択しました。
支払い方法を選択して決済を済ませば契約完了。既にXserverサービスを利用していれば、ログインすれば個人情報や支払い情報を利用できるので便利です。
申込み完了まで約10分、あっという間で契約完了です。
アカウントを作成してみよう!
Xserver SNSに申込みが完了すると、コントロールパネル(SNSパネル)の準備が進みます。
「SNS管理」をクリックして管理画面に入ります。利用ができるまで約1時間ほどかかりました。
「SNSパネル」で各種設定を行います。CPU/メモリ情報を確認し高い状態が続くようであれば上位プランへの乗り換えを検討しましょう。「ストレージ使用状況」はシステム領域で11.19GBも使用しています。「投稿データ」、「アップロードファイル」がゼロで既に11%利用しているのは・・・。まぁ、仕方無いですね。
Bluskyが不調になったときは「サーバー再起動」ボタンをクリックすればよいようです。改善するのかしら?
サイドバー「Bluesky」で「ユーザー管理」、「招待コード発行」が可能です。ユーザーを追加はユーザー名を任意にいくつでも作成できます。削除もサクッとできちゃいます。
「招待コード」はこのサーバーへユーザーが登録する際に、必要となります。「発行する」をクリックするとコードが表示されますが、発行済みコードの再確認や使用上の確認、無効化はできません。なお、招待コードは一度のみ利用可能です。
「サーバー」の「Blueskyの公開設定」を「公開」、「非公開」を設定できます。「非公開」を選択すると利用ができなくなります。クローズ環境で使えるというわけではなく、完全に機能停止しますので注意してください。
ユーザーを追加すると、バンドル名に表示されます。「ユーザー名.ドメイン名」の構成となります。
Blueskyでは、それぞれ立ち上げたサーバーを「PDS」(Personal Data Server)」と呼びます。メールアドレスは、PDS内で重複しなければOKです。一方、バンドル名、DIDは、Blueskyで一意となります。
登録した独自ドメインにブラウザでアクセスすると、このような画面が出ました。これはイマイチですね。任意のメッセージを表示できるようにして欲しいです。
Bluesky アプリで利用
ウェブアプリは、bsky.app を利用します。Mastodonとは違い、ウェブアプリやスマホアプリは汎用品を利用します。
blsky.app アプリでログイン操作の際に、データをホストするサービスを選択できるので、カスタムで設定したドメインを入力します。
アカウント名、パスワードを入力します。
ついに、おひとりさまBluskyサーバー(PDS)にログインができました!何だか変な気分ですね。
Bluesky の動きをいろいろと確認
ここからは、Blueskyでいろんな動きを試してみました。実際に触ってみることで分かったことが色々とあります。Blueskyは機能追加が頻繁にあるため、2024年9月21日時点の情報としてご覧いただけると幸いです。
超ザックリですがBlueskyのAT Protocolの概念図をご紹介。今回作成したのはPDSですが、取りまとめを行うサーバー、BGSが存在しています。このBGSはBluesky PBCが運営しているため、クローズ環境が構築できません。
技術的に不可能というよりは、Xserver SNSの仕様であったりBGSの運営にはサーバーにスペックが要求され費用もかかるなどの状況があり今後、変化がある可能性があります。
PDSを建てることによるメリット
おひとりさまサーバーであるPDSを構築することによるメリットは次のようなものが考えられます。
- bsky.social の規約に従う必要がない
- アカウントBANされるリスクが低い
- データが手元にある
- アカウントを自由に作成できる
しかし、実際には以下です。
- bsky.social の規約に従う必要がないが、Xserver SNSの規約に従う必要がある
- XserverからアカウントBANされるリスクが少なからずある
- データは手元にあるが、Xserver SNSではインポートサービスが提供されていない
- bsky.socialでも、独自ドメインの名前が付けられる
Xserver SNSを利用する上で規約・機能は依存するところが大きく、現状できないことも多く、メリットはいつでも手元にデータがある、ということくらいだと思います。
できること・できないこと
それでは具体的にできること、できないことを解説していきましょう。
バンドル名の変更
bsky.appの「設定」→「高度な設定」→「バンドルを変更」で可能です。hogehoge.bsky.social のhogehogeの部分を変更可能です。bsky.socialの部分はPDS名になるため、変更不可です。
Blueskyの面白い機能として、所有するドメインを設定できます。ドメインの所有証明として①DNSで設定する、②ウェブページに指定のファイルを置くのいずれかが必要です。
①の場合はドメインに対して設定できますが、②の場合はサブドメインでも設定ができます。また、PDSと違い、通常のウェブサイトを利用しながらもバンドル名としてドメイン名、サブドメインを設定ができるのが超便利。
具体的には、hogehoge.comや、user1.hogehoge.com、user2.hogehoge.com といったように、自由にサブドメインを使ったバンドル名を指定でき、PDSを建てるメリットと同じような運用が可能です。
注意点としてはバンドル名を変更した瞬間に変更前のバンドル名が開放される、という点です。特に独自ドメインを使った場合は、再度ユーザー登録をして、前の名前をすぐに確保するようにしましょう。
PDSを跨いだアカウントの引っ越し
バンドル名を独自ドメインで利用できるなら、他のPDSへアカウントの引っ越しができるのでは?と思うでしょう。これができればドメインさえあれば永久に同じバンドル名で活動ができることになります。
この答えは、バンドル名は引っ越しできるが、フォロー・フォロワー情報、コンテンツは引っ越しできない、となります。
バンドル名が変更できる仕組みとして、ユーザーにはDIDから始まる番号が付与されています。 @hitoxu.bsky.social では、 did:plc:xavp6mw4plmaof2jhrljtyb4 が付与されています。アカウントの証明としてドメインに登録した情報がまさにこのDIDから始まるIDだったわけです。
新しいPDSでユーザーを作成すると、DIDが新たに振り直されます。ドメイン設定済みのバンドル名を変更した後に、新しいPDSのユーザーのDIDをドメインに設定し直せば、新しいPDSのユーザーでバンドル名を名乗ることが可能です。
しかし、フォロー・フォロワー情報、コンテンツはPDSに保存されており、DIDに密接に紐付いているため容易に引っ越しができません。将来その機能が提供される予定とありますが、現状はその手段は提供されていません。
これはPDS内でも同じです。DIDが別のユーザーにドメインを使ったバンドルを変更することが可能ですが、フォロー・フォロワー情報、コンテンツの引継ぎはできません。
データのダウンロード
bsky.appの「設定」→「アカウント」→「私のデータをエクスポートする」からCARファイルでメディアファイルを含めダウンロードできます。(WindowsでCARファイルの解凍ができなかったため、中味は未確認です。)
また、PDSへのインポート機能も提供されていないため、データ保管用となります。
さいごに
今回は、Xserver SNSで、Blueskyの提供が始まったことを受け、おひとりさまサーバー(PDS)を構築してみた、というお話しです。Blueskyの裏の仕組みがどうなっているのか、少しだけ触れられた気がします。
Blueskyは、既存SNSのいいところ、いまいちなところを分析し、概念は賛同できます。現在は機能が足りていない部分も多いですが、今後改善が期待できると思います。
Xservrer SNSを使ってみた感想は現状は、恩恵を受けられる人は限定的ではないかと感じました。bsky.socialでできること以上のことが少なすぎると感じました。
今後もBluesky、Xserever SNSを注目して行きたいと思います。