11月19日、グーグルが遂に独自開発のオペレーティングシステム「Google Chrome OS」を、オープンソースプロジェクト「Chromium OS」として公開しました。
製品としてのChrome OSの正式発表は2010年を予定されていて、製品を入手できるのは1年後、2010年のホリデーシーズン直前、とのこと。しかしこの時期に、“実態”を目にすることで大きな興奮と期待を持たずにはいられません。
なんと言っても、Windows、MACの2代OSの牙城を切り崩してまったく新しい風を吹かせて欲しい、と思っています。2010年は本当の意味で「クラウド元年」になるかもしれません。
Chrome OSはブラウザベースのアプリケーションのみに(ほぼ)限定された利用方法を想定していて、その判断は非常に簡潔で分かりやすく、そして無限の可能性を秘めていると言えます。OSSで無料&公開されたOSなのでハードの価格を抑えることもできるでしょうし、独自機器に組み込むことも容易となります。
普及のポイントとして、もっとも重要なのが、「ソフトの充実」であることは言うまでもありません。これについては現段階でもGmailやGoogleDocを始め多くのサービスがあるのであまり心配していません。(これらのアプリだけで事が足りるか、というユーザーごとのニーズを満たせるかという課題はありますが。)
Chrome OSでフォトショップやビデオ編集などをしたいと思うユーザーはいないでしょう。携帯電話のようにすぐに起動してネットで情報収集や、メールチェック、SNSで交流、Twitterでつぶやき。など気軽にネットに接続できることが重要なのです。
また、普及のためのもうひとつのポイントとして、開発者が儲かる仕掛け作りと、ユーザーが安心して利用できる環境を準備できるか、が重要になると考えています。
現時点でどのようなアプリケーションの追加方法になるか分かりませんが、Chrome OS専用アプリ、という閉ざされた世界でのウェブアプリは実現が難しいと思います。ちょっとした時間で使える、Chrome OSでちょこちょこっと作業をして、会社ではWindowsやMacのPCからブラウザ経由で同じウェブアプリを操作する、と言う使い方が自然だと思うからです。
しかし、現在のウェブアプリは「無料」が基本となってしまっていて、「開発者の儲かる仕組み」、いわゆるビジネスモデルが確立されていないのが課題だと感じています。いい、悪いは別にして、iPhoneにあれだけのアプリが登場したのは、AppStoreの存在が大きいというのは言うまでもありません。ウェブアプリで課金というのは私も抵抗感がありますが、利用者にとって有益なサービスに対価を支払うのは当然だとも思います。
課金の手段として、PaypalやGoogleCheckoutが既にありますが、ユーザー管理は自前で作らなければいけないのが現状です。Googleにはぜひ、課金の仕組み以外に「ユーザー管理?課金?データ管理」を包括したシステムを同時に提供して欲しいと思います。開発者は「ウェブアプリ」に資源を集中できる仕組み作りが、今後重要になるのだと思います。
また、ユーザー視点から言えば現在のウェブアプリは便利だけれども、「安心して利用できる環境」かと言えば「?」と不安がいっぱいです。課金でクレジットカードの情報を入力するのも不安と隣り合わせですし、そもそも私の個人情報や重要な情報をクラウドとかいって相手のサーバに預けてていて大丈夫なの?とたまに思うことがあります。
この点についても前述の包括したシステムを利用することで安心感を持てるようになると、利用者側にもメリットがあると思います。
ただ、、、その仕組みをGoogleが作って果たして安全か?安心感を持てるか?という話はありますが……(^_^;)。
何はともあれ姿を現した、Chrome OS。ウェブアプリを中心とした設計が予想通りではありますが、クラウドコンピューティングの幕開けを予感させるOSであることは間違いありません。今後の展開を注目したいと思います。