10日に開かれた冬・春モデルの携帯電話新機種発表会で、ドコモとソフトバンクモバイルが提示した方針が真逆でしたね?。ブログでも意見が分かれていて
- 孫社長(Softbank)と山田社長(docomo)の決定的な違いとは? – RyoAnna’s iPhone Blog
- Wi-Fiか3Gか – matuダイアリー
お二人のブログでも同様にこの記事に対して、意見が書かれているのですが、見解が真逆なのが興味深いです。
- RyoAnnaさんのご意見
- 時代の流れを正確に把握しビジネスへ繋げているのは孫社長
- 「マイエリア(docomo)」のサービスをどのくらい利用したいと思うのか疑問
- matuさんのご意見
- ケータイキャリアの社長の発言としては、ドコモの方が正論
- 3GもWi-Fiもバランスよくインフラを整備してインフラの利用料金を競って
なるほど?とお二人とも的を射ていると思います。
ただ両社長とも広告塔であり新製品の発表の場であったことを考えると、私は両者の事情が関係していると強く感じました。
目次
■ 発言・サービス内容の裏側を考えてみる(いわゆる大人の事情)
ソフトバンクモバイル
- 無線LANスポット「ソフトバンクWi-Fiスポット」も無料で利用できる
→「Wi-Fiバリューパック」への加入が必要。これって実情無料って言えるの? - 使用料は2010年12月末までに加入する場合は無料
→早期加入促進のための常套手段。どうせ延長されるんでしょ? - パケット定額は段階制ではなく、上限額で固定
→ヘビーユーザーは上限額で張り付いており、「2段階定額は有名無実化している」と言うけど、一部で節約しまくってWi-Fiで使う人もいるのも事実。これを排除して客単価を上げたい訳ね - 「Wi-Fiバリューパック」に入らないとWi-Fi機能が使えない。自宅でWi-Fi設定もできない
→2010年12月まで無料だから入ってよ?ってことでしょうね。SBMはパケット上限の利用料が目的なんです - 「人間に鼻と口があるように、3GとWi-Fiが両方あるのが当然だという時代になる。Wi-Fiがないと息苦しいという時代になる。Wi-Fiがわたしの出した答えだ」
→自社の3G回線をできるだけ使わないで欲しい!という考えが前提にあるのでは。3Gだけで息苦しくないようにするのが最も利用者は利便性が高いと思うけど
ドコモ
- 「マイエリア」自宅にフェムトセル(小型基地局)を設置し、専用FOMAエリアを構築。接続できるのはあらかじめ登録したFOMA端末(1契約10回線まで)のみ。
→法人で使えないようにするのが目的ね……。 - HSDPAの枠内(下り最大7.2Mbps)で通常より高速な通信が可能
→有料iモードコンテンツをどんどん使って欲しいという想いがムンムン - 月額料金は980円(初期費用2100円)。「ファミ割MAX50」などを利用していれば半額の490円に割引
→自宅の速度UPのために追加費用を払う人っているのかな? - フェムトセルを接続するためにPPPoEマルチセッションに対応したFTTHサービスが必要で、現状ではNTT東西地域会社の「Bフレッツ」のみ対応
→ここでもグループの囲い込みが目的なんですね
以上、走り書きでまとめましたが、両者の都合がてんこ盛りなのがよく出てると思いませんか?3Gの帯域を圧縮したい、客単価を上げたいソフトバンクモバイルと、iモードコンテンツの利用を促進したいドコモ。
正直なところ、携帯電話の将来の夢や、あるべき姿が提示されたとは到底思えません。携帯電話がスマートフォンに近づいている事は間違いないのですが、携帯電話のコンテンツに軸足を置いている限りこのような戦略を取らざるを得ない、というのが実情なのでしょう。スマートフォンで成功したソフトバンクモバイルもここにジレンマを感じていると思います。
そういう意味では、国内で成功を収めてきた携帯電話のビジネスモデル(いわゆるガラケー)は過渡期を迎えていると言えます。今後数年で無くなると言うことは無いと予想されますが、「スマートフォンはまったく別物」として取り扱うのではなく、融合しつつ、携帯電話コンテンツもオープンなものに展開していく必要があるでしょう。
次の新機種発表会では、両社長にはこの辺を語っていただきたいですね?!!