日本時間23日未明に開催されたアップルのスペシャルイベントで、OS X Marvericksが本日より、無料で公開される事が発表されました。
これまで私たちは、パソコンを買えばOSは意識せずとも付属しているものでしたが、それをメジャーバージョンアップしようとすると大きな出費が発生するもの、と認識してきました。
過去の資産との互換性の問題もありOSのメジャーバージョンアップを見送るという理由もありますが、金銭的な理由で見送ってきた事も多いのも事実です。企業利用は前者が理由で個人利用では後者が理由であることが多いと思います。
Windows、Mac OSともOSは高価なものでしたが、アップルはOS X Lionより舵を切りました。
OS X Lion(10.7)で2,600円と安価な設定となり、前回のOS X Mountain Lion(10.8)では1,700円、そして、OS X Marvericks(10.9)で0円(FREE、無料)となりました。
OSが無料。これが意味するものは何なのでしょうか?
アップルだからできたOS、ハード、アプリ一体のサイクル
iOSはiPod touchはiOS 3.Xまでは数百円の有料、iPhoneは無料でしたが、iOS 4以降はすべて無料で配布されています。
これにより何が起きたか。アップルがその効果を一番実感しているところでしょう。
多くのユーザーが最新版のOSを利用
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最新機能を利用したアプリが開発
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iPhoneがより魅力的なハードに
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新機種に興味を持つようになり買い換え促進
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iPadやiPod touchの購入促進
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Macにも興味が湧いてきて購入促進
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アプリ、ハードが売れてアップルの利益がアップ、その利益でより魅力的なハード、サービスを構築
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このようなサイクルがうまく回っているのが今のアップルの成功要因なのです。OS、ハード、アプリすべてを自社で完結しているアップルだからこそできるサイクルとも言えます。
OS、Office製品などのソフト販売が主力のマイクロソフトにもできなかったでしょうし、ソフトとハードのソニーにもできません。
さらにスマートフォン、タブレット、デスクトップPC、ノートPCとフルラインナップを取りそろえているので、どこから入っても多方向へ広がりが可能なのです。アップル製品だけで完結ができるのです。
OS Xの無料化でサイクルが加速する
OS X Mavericksの無料化でMacのほとどんどが最新版となるでしょう。最新版のiOSとシームレスに連携が可能となり、先ほどのサイクルが加速することは間違いありません。
このサイクルを加速することで、iPhone、iPad、Macのハードの販売はもちろん、AppStore、iTunesで有料アプリ、有料コンテンツの購入がより進むことでしょう。
しかもアップルの凄いところはシェアを強く意識していないという点です。タブレット市場に関しては79%のシェアを握っていますが、スマートフォン、PCでは独占的ではありません。しかし根強いファンと支持があり、「ハード」と「コンテンツ」で利益を上げる構造である点が他の企業と大きく違うところです。
あらためてアップルの戦略の深さと広がりには驚くばかりです。今後、アップルに対抗できる企業は現れるのでしょうか? しばらくはアップルの快進撃が続きそうです。