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なぜゲオは残り、TSUTAYAは減ったのか?CCCのビジネス転換と旗艦店閉店の背景

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街を歩いていると、昔あった TSUTAYA の看板が消えていることに気づくことがあります。大阪では、都心の旗艦店がこれから閉店するという発表も続きました。道頓堀の TSUTAYA EBISUBASHI(いわゆるエビツタ)は、賃貸借契約の満了に伴い 2027年1月11日 で営業終了予定、あべの橋店2026年10月4日 で閉店予定です(公式X でも告知)。いまはまだ営業中で、閉店そのものではなく「閉店する」ニュースです。一方でゲオは、郊外のロードサイドでまだよく見かけます。同じ「レンタル店」だったはずなのに、なぜ明暗が分かれたのか。公開されている店舗の動きや、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)側の事業の組み立てについて、整理しました。

数字は定義(直営かフランチャイズか、レンタルを扱う店か)や時点でぶれやすいので、ここではおおよその規模感として書いています。

1. なぜゲオは残り、TSUTAYA は減ったのか

最盛期の 2010 年頃、TSUTAYA は全国で約 1,450 店規模のレンタルチェーンでした。2025〜2026 年時点では、直営・FC を合わせておおよそ 450〜600 店、レンタル DVD を扱う店は 300 店強まで減った、という見方が出ています。看板の数だけ見ても、「レンタルの TSUTAYA」はかなり縮小しています。

差がつきやすいのは、誰が店を持っているかです。

  • TSUTAYA(FC が約 8〜9 割): 加盟店の多くは地方の書店や中小企業。売上が落ちたあとに改装費を出せず、賃貸や FC 契約の満了で閉店を選ぶ店が続きやすい。
  • ゲオ(直営が約 7〜8 割): 本部がレンタル棚をまとめて外し、セカンドストリート(リユース)、中古スマホ、チューナーレステレビなどの PB 家電へ、比較的速く売場を切り替えられる。

ターゲットも分かれました。TSUTAYA 側は都市型の「空間・文化消費」(蔦屋書店など)へ寄せた一方、郊外ロードサイドをどう再生するかの型は作りにくかった、と言われます。ゲオは郊外生活者の実利・節約・リユースに寄せ、インフレ下でも需要が続きやすい形に寄せています。どちらが正しいかというより、残す客層と、店を動かす主体が違った、と見た方がよさそうです。

2. 都心一等地の「一棟借り」が限界になった理由

戎橋(TSUTAYA EBISUBASHI)やあべの橋店のような駅前・繁華街の大型店は、ビルを丸ごと借りる「一棟借り」が多かったタイプです。賃料と維持費は、立地次第で月にかなりの額になります。レンタルや一般書籍の客数・回転が落ちたあとは、空間型や物販に変えても、高い固定費を回収しにくい。

2000 年代初頭に結ばれた大型の定期借家が、20〜25 年で満期を迎えるタイミングも重なりました。更新せず撤退する判断は、「まだ客が来るかどうか」だけでなく、固定費の契約が切れるかどうかの問題でもあります。戎橋店の発表も、理由を賃貸借契約の満了としています。

いまの出店は、自前の路面を抱え続けるより、ららぽーとやグランフロント大阪のような大型商業施設のテナントや、公共施設の受託へ寄せる方向です。戎橋店の地下1階「大阪IP書店」は、店舗の営業終了後、2027年春に大阪市内へ移転オープンする予定、と発表されています。都心の看板店が消えていくのは「人気がなくなった」だけではなく、不動産の持ち方が合わなくなった側面が強い、と整理できます。

出典:

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3. 客が少なく見える蔦屋は、どこで儲けているのか

蔦屋書店やシェアラウンジは、書店としては客がまばらに見えることがあります。本だけ売って成立させるモデルではない、と考えるとわかりやすいです。

SHARE LOUNGE(時間課金) は、1 人あたり 1 時間 1,000〜2,000 円超の課金が目安です。飲食原価と人件費を足した FL 比率は、通常のカフェで約 60% と言われることが多いのに対し、セルフ中心のラウンジは約 40% まで抑えられる、という説明があります。国内 50 店超、アプリ会員 50 万人超、旗艦では月商 2,000 万円超、といった数字も事業側から出ています。席の回転と滞在課金が、本の売上より先に効く設計です。

書籍そのものは薄いです。再販制度のもとでの書籍マージンは、粗利おおよそ 22% 前後とよく言われます。一方、セレクト雑貨、デザイン文具、PB(HEDERA など)、アート、コスメは粗利 50〜70% を取りやすい。棚の見え方は書店でも、利益の中心は別、という構造です。

公共施設の指定管理も大きいです。武雄市、海老名市、多賀城市、周南市などで公立図書館の運営を受託し、自治体から年に 1 億円前後規模の指定管理料に加え、館内カフェや物販を載せる。店舗の日販に依存しないストック型です。

加えて、商業施設側が集客・ブランドのために歩合家賃や内装(B 工事など)を優遇して呼ぶケース、店内フェア棚やイベント枠を企業向けの広告・プロモーションとして売るケースもあります。「客が少ない=赤字」とは限らない、ただしそれは本以外の柱がある店の話です。

4. 決算から見る CCC(売上約 500 億と最終利益)

上場期の 2010 年前後、グループ連結売上は約 2,300〜2,500 億円規模でした。直近(2025〜2026 年)は単独売上おおよそ 500〜550 億円、連結約 900 億円までスリム化した、という整理があります。店を減らしただけあって、売上の塊も小さくなっています。

利益の見え方は、もう一段注意が要ります。

  • 2025 年 3 月期: 売上高 約 499 億円、営業利益 約 0.9 億円(本業利益率 0.18% 前後)、最終純利益 約 51 億円(特別利益 約 120 億円)。
  • 2026 年 3 月期: 売上高 約 551.8 億円、営業損益 約 ▲6.6 億円、経常損益 約 ▲8.4 億円、最終純利益 約 343.8 億円(特別利益 約 410 億円)。

「毎年 50 億、300 億と本業で稼いでいる」というより、小売・店舗はトントン〜赤字で、過去の資産売却などの特別利益で最終黒字を作っている局面、と読む方が近いです。官報の決算公告や業界紙の数字は、定義や連結範囲で差が出るので、細かい円単位まではここでは固定しません。方向性として押さえておきたいのは、「看板の派手さと、本業の利益率は別」という点です。

5. T ポイントの終焉と V ポイントへの主導権

TSUTAYA に行く理由のひとつだった T ポイントも、加盟店の離脱が続きました。2019 年にファミリーマートの独占解除(d ポイント・楽天とのマルチ化)やドトール離脱、2020 年にすかいらーくのマルチ化、2022 年にヤフー系が PayPay へ一本化(影響が大きかった)、2023 年に ENEOS のマルチ化、といった流れです。

2024 年 4 月には、T ポイントと旧 V ポイントが「青と黄色の V ポイント」へ統合されました。その後の資本再編で、運営会社(旧 CCCMK ホールディングス)は 2026 年 3 月 31 日付で三井住友カードの子会社になり、出資比率は三井住友カード 55%、SMBC 25%(グループ計 80%)、CCC 20% です。社名も 2026 年 4 月 1 日付で V ポイントマーケティング株式会社へ変わっています。Visa 決済や Olive 経済圏のポイントへ寄っており、「TSUTAYA に行くためのポイント」という機能はほぼ残っていない、と見てよいと思います。

出典: 三井住友カードによる V ポイントマーケティングの子会社化について(2026年4月1日)

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6. 「看板チェーン」から「身軽なプロデュース企業」へ

残っている勝ち筋は、自前の大型チェーンを抱え続けることより、ノウハウを売る側に寄ることです。

  • SHARE LOUNGE のライセンス/OEM: オフィス、ホテル、他社の商業施設へ空間とアプリ・運営を渡し、ライセンス料やシステム利用料を取る。
  • 公共・商業の受託: 図書館や大型 SC の空間プロデュース、指定管理の手数料。
  • IP・推し活のリアル: リニューアル後の SHIBUYA TSUTAYA のように、配信では代替しにくい限定グッズ、コラボカフェ、催事の箱。
  • 企業との共創: SMBC の Olive LOUNGE や、スターバックスとの LOUNGE & CAFE のような空間プロデュース。

店の数は減っても、ブランドと設計の型を他者の箱に載せる。レンタル全盛の「自前で路面を持つ会社」から、BtoB の受託・ライセンス会社への切り替えです。

結び

TSUTAYA が街から減ったのは、レンタル需要が落ちた、という一言だけでは足りません。FC 中心で改装が追いつかなかったこと、都心の一棟借りが重荷になったこと、ポイント経済圏の主導権が移ったこと、本業の利益が出にくい決算であること。そのうえで CCC は、空間とブランドを他社・自治体に載せる側へ移しています。

ゲオが郊外の実利で店を残し、TSUTAYA が都市の体験と受託へ分かれた、と覚えると、次にどの看板が消えて、どの箱に「TSUTAYA っぽい空間」だけが残るか、追いやすくなります。リアル店舗は「何を売るか」より、誰が家賃を払い、誰が客の財布を持っているかで寿命が決まる——その見本のひとつ、というのが今のところの整理です。

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タグ TSUTAYA ゲオ CCC 蔦屋書店 Tポイント

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