2026年3月31日をもって、NTTドコモの3Gサービス(FOMA)および「iモード」がサービスを終了(停波)します。2019年10月の終了発表から約6年半という長期の移行期間を経て、一つの時代が幕を閉じます。2001年のFOMA開始から実に25年もの間、日本のモバイルインターネット文化(いわゆるガラケー文化)を牽引してきたインフラの終了は、非常に象徴的な出来事です。 この停波の背景と、過去から未来(1G〜6G)に至るモバイル通信網の歴史的な変遷について整理します。
目次
1. なぜ3G(旧世代)は停波するのか?
通信事業者が古い世代の電波を停止する最大の理由は、「有限である電波(周波数帯)の有効活用」です。主な要因は以下の2点に集約されます。
- 周波数の再編(リファーミング): 電波は国から割り当てられた限られた資源です。古い規格のために貴重な帯域(プラチナバンドなど)を占有し続けると、新しい規格の通信速度や容量を増やすことができません。3Gを停波して空いた周波数帯を、より高速で効率的な4Gや5Gの通信用に転用することで、全体の通信品質や逼迫するデータトラフィックへの対応力を向上させる狙いがあります。
- インフラの老朽化と保守コストの削減: 3G専用の通信設備(基地局のハードウェアなど)は老朽化が進んでおり、メーカー側の保守部品の提供終了なども相まって、システムの維持そのものが困難になりつつあります。古い設備を廃止することで、運用・保守コストを次世代インフラへの投資へ回すことができます。
2. 1Gから3Gに至る歴史と進化
携帯電話の通信規格には、3Gの前に「1G」と「2G」が明確に存在し、それぞれがモバイル端末の進化を形作ってきました。
- 1G(第1世代 / 1979年〜): 自動車電話や「ショルダーホン」をルーツとする「アナログ方式」の通信です。音声通話のみが可能でしたが、ノイズが入りやすく、端末も非常に大型・高価でした。ドコモでは1999年にサービスを終了しています。
- 2G(第2世代 / 1993年〜): ドコモの「mova(ムーバ)」に代表される「デジタル方式」の通信です。デジタル化により音声がクリアになり、さらに1999年には「iモード」が誕生しました。モバイル端末でメールやWebブラウジング(テキストベースのデータ通信)を行う文化がここから始まっています。2012年にサービスを終了しています。
- 3G(第3世代 / 2001年〜): 今回停波を迎える「FOMA」が該当します。国際標準規格(IMT-2000)が採用され、通信速度が劇的に向上しました。着うた、メガピクセルカメラによる写真送信、TV電話、リッチなWebサイトの閲覧など、モバイル端末が「マルチメディアデバイス」へと進化した決定的な世代でした。
3. 4Gと5Gはいつまで使えるのか? 次世代への展望
現時点(2026年)において、4Gや5Gの具体的な終了時期は発表されていません。
一般的に、一つの通信世代は約10〜15年程度が主力として活躍する期間とされています。しかし、現在の4G(LTE)は音声通話(VoLTE)を含めたモバイル通信の「最も重要な基盤(土台)」として定着しており、少なくとも2030年代半ばまでは継続して利用される公算が大きいです。 また、現在普及している5Gについても当面は主力として長期運用される見通しですが、水面下ではすでに 「6G(第6世代)」 の研究開発が進められています。6Gは2030年頃の商用化を目指しており、五感の通信や完全な自動運転など、現実世界とサイバー空間のシームレスな融合を実現するインフラとして期待されています。
