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秋田市のスタジアム計画難航から見直す、Jリーグの「身の丈に合わない」施設基準

サッカーJ2・ブラウブリッツ秋田の新スタジアム建設を巡り、行政とクラブの協議が難航しているというニュースが報じられています。「巨額の建設費を誰が負担するのか」で折り合いがつかないこの問題は、単なる一地方の揉め事ではなく、全国の自治体が抱える構造的な課題を浮き彫りにしています。

客観的な数字と実態から、今後のスタジアム建設のあるべき姿を整理します。

目次

1. 全国のクラブ数と、スタジアムが抱える費用の実態

現在、JリーグにはJ1からJ3まで全国に60のクラブが存在します。理念として全国各地にスポーツが根付いたことは素晴らしい反面、そのインフラ維持には莫大なコストがかかっています。

  • 建設費の重圧: J1基準のスタジアムを新設する場合、規模によりますが概ね100億円から150億円規模の公金(税金)が投入されるケースが一般的です。
  • 維持費と稼働率の矛盾: 最大の問題は建設後の維持費です。Jリーグ基準の良質な「天然芝」を維持するため、ピッチは月2〜3回のプロの試合以外ではほとんど使用できません。
  • 赤字補填の連鎖: 市民への一般開放や音楽ライブ等のイベント利用が制限されるため、施設単体で採算を取ることはほぼ不可能です。その結果、年間数億円にのぼる維持管理費の赤字を、自治体が「指定管理料」などの名目で補填し続ける構造になっています。仮に全国の地方都市でこのモデルが乱立すれば、長期的には数千億円規模の税金が費やされる計算になります。

2. 地方都市の規模に合わない「厳しすぎる基準」

なぜこれほど高コストな施設が必要になるのか。その原因は、Jリーグが定める「クラブライセンス制度」の画一的で厳しい基準にあります。

  • 1万5000人以上の収容能力と屋根: J1に昇格するためには、最低でも1万5000人を収容でき、かつ観客席を覆う屋根を備えたスタジアムが求められます。
  • 都市規模とのミスマッチ: 人口数百万人の大都市圏であれば、この規模のハコモノを維持する経済力や集客力があります。しかし、人口十数万〜数十万人の地方都市に対し、大都市と全く同じ基準の巨大施設を求めるのは、行政の財政力や地元企業の協賛余力(身の丈)を大きく超えています。

3. 改善に向けた提案:持続可能で身の丈にあった運営へ

人口減少と地方財政の緊縮が続く中、これまでのように「税金に頼ってハコモノを建てる」旧来のモデルは限界を迎えています。地域とクラブが共存していくためには、持続可能性を第一に置いた基準への見直しが必要です。

  • 都市規模に応じたライセンスの柔軟化: ホームタウンの人口や経済規模に合わせて、例えば「5,000人〜8,000人規模のコンパクトな専用スタジアムでもJ1ライセンスを認める」といった、身の丈に合った段階的な基準を設けるべきです。
  • 稼働率を上げる「芝」の緩和: 天然芝の要件を緩和し、最新の高品質な人工芝やハイブリッド芝の導入を広く認めることで、試合のない日は市民のスポーツ利用やイベント貸し出しを行い、スタジアム自身が「365日稼げる」構造に変える必要があります。

まとめ

秋田市のニュースは、「プロスポーツの地域貢献」という大義名分だけで巨額の税金を投入できる時代の終焉を示しています。 持続可能なクラブ運営のためには、リーグ側が地方の現実に寄り添い、過剰な施設基準を適正化することが急務と言えます。

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