テレビの受信料が義務付けられているNHKですが、ラジオ放送については無料で聴くことができます。その理由と、かつての歴史的背景について整理しました。
目次
1. 実は昔は「ラジオも有料」だった
ラジオ放送が始まった1925年(大正14年)から長らくの間、ラジオを聴くための「ラジオ受信料」は存在し、国民は料金を支払っていました。テレビ放送が始まった1953年(昭和28年)以降も、「ラジオのみの契約」「テレビとラジオの契約」といった形で料金が分かれていました。
2. なぜ無料(受信料廃止)になったのか?
ラジオの受信料が完全に廃止されたのは、1968年(昭和43年)4月のことです。これには主に3つの時代背景がありました。
- テレビの爆発的な普及: 1960年代後半になるとテレビ(特にカラーテレビ)が一般家庭に急速に普及し、NHKの主な収入源が完全にテレビの受信料へとシフトしました。「もうラジオからお金を取らなくても経営が成り立つ」という状態になったことが最大の理由です。
- 生活インフラ・防災メディアとしての定着: ラジオが一人一台の時代になり、生活に欠かせない身近な情報源、特に「災害時の命綱」としての役割が強くなりました。そのため、誰もが無料で等しく情報を受け取れるようにすべきだという社会的要請が高まりました。
- 徴収コストの非効率化: トランジスタラジオの登場でラジオが小型化・携帯化し、「誰がどこでラジオを持っているか」を把握して数百円の料金を集金して回るコストのほうが、割に合わなくなってしまったという実務的な理由もあります。
3. 現在の法律(放送法)の規定
この1968年の見直しに伴い、放送法が改正されました。 現在の放送法第64条では、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とした上で、「ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声放送)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない」と明確に例外規定が設けられています。
【まとめ】 NHKラジオが無料なのは、テレビの普及によって財源が確保できたことと、ラジオが「国民全員がいつでも無料でアクセスできるべき命綱(インフラ)」として位置づけられたためです。
