先日の選挙で自民党が圧勝した結果を見て、ふと「極端だな」という違和感を覚えました。 小選挙区制だと、得票率以上に議席数が大きく振れてしまう。これでは民意と結果に乖離(かいり)が生まれすぎるのではないか?
そんな疑問から、「昔の中選挙区制(1つの区から複数人が当選する仕組み)の方が、多様な意見を拾えて良かったんじゃないか?」と思い立ち、改めて今の制度の成り立ちを深掘りしてみました。
なぜ「中選挙区」は廃止されたのか
結論から言うと、かつての衆議院(中選挙区制)には「多様性」というメリット以上に、「政治とカネ」の問題を断ち切れない構造的な欠陥があったようです。
- 身内争いの過熱: 1つの選挙区から自民党が複数人出るため、政策論争ではなく「サービス合戦(金権政治)」になる。
- 野党の安住: 野党も「2位や3位でも当選できる」ため、本気で政権を取りに行かなくなる。
この腐敗の連鎖を断ち切り、「人」ではなく「政党・政策」で選ぶ政治にするために導入されたのが、今の小選挙区制だったわけです。
比例代表の「ブロック制」にある建前と本音
小選挙区制は「強い政治」を作る一方で、死に票が増える劇薬です。 その救済措置として 「比例代表」 があるわけですが、ここにも「なぜ全国一律ではなく、11のブロックに分けているのか?」という疑問がありました。
ここには明確な「建前」と「本音」があるようです。
- 【建前】地域代表の確保
- 全国一区にしてしまうと、名簿の上位が東京の有名人ばかりになりかねない。「地域の声」を国政に届けるため、エリアを分ける必要がある。
- 【本音】ミニ政党の乱立防止
- 実はここが重要で、もし全国一区にすると「得票率1%未満」でも議席が取れてしまう。そうなると極端な主張を持つミニ政党が乱立し、政治が不安定になる(イタリアなどの例)。
- ブロックに分けることで「当選ライン」を意図的に上げ、ある程度まとまった支持がある政党だけが生き残れるようにしているのです。
なぜ参議院は「中選挙区」的なのか?
一方で、参議院を見ると、大都市部では複数人が当選する「中選挙区」的な仕組みが残っています。なぜこちらは許されているのか?
それは、参議院には「解散」がないから です。
衆議院は「内閣を作る(=政権選択)」場なので、強い多数派を作る必要があります。 しかし、参議院は任期が6年保証されており、いつ選挙になるか分からないというプレッシャーがありません。だからこそ、多少意見が割れても「多様な民意(良識)」を反映する役割が残されているわけです。
制度の意図を理解する
- 衆議院: 多少強引でも「決断できる政治」を作る(小選挙区+ブロック制)。
- 参議院: 行き過ぎをチェックするために「多様な意見」を残す。
完璧な制度はありませんが、「圧勝」という極端な結果も、実は「安定」のためのコストとして設計されたものだった。 そう理解すると、単なる違和感だけでなく、このシステムが持つ「意図」が少し立体的に見えてきました。
